瑕疵担保責任がある家は住宅診断を実施すべき?

公開日:2022/04/15   最終更新日:2022/04/22


中古住宅の購入を考えた時に住宅診断を依頼しようとしたら、「瑕疵担保責任があるから住宅診断をしなくても大丈夫」と不動産業者から断られることがあるようです。果たして、本当に瑕疵担保責任のある家は、住宅診断をしなくてよいのでしょうか?この記事では、瑕疵担当責任がある家は住宅診断を実施すべきかどうか?という点について解説します。

瑕疵担保責任とはどういうもの?

そもそも、瑕疵担保責任とはどういうものでしょうか?「何となく知っているけれど……」という人もいるかもしれませんが、ここでは瑕疵担保責任について詳しく説明しています。

■瑕疵担保責任について

瑕疵担保責任とは、その中古住宅を購入した後で不具合が見つかった時に、売主が費用負担して修繕する責任を負うという契約です。もともと売主の持ち物だった物件ですから、至極当然の義務といえるでしょう。なお、不具合があることを売主が知らなかったか?故意に隠していたか?ではなく、「不具合が発生したかどうか」という事実のみを重視しています。

■売主が不動産業者なら

ほとんどの業者が、「引き渡し後二年間」を瑕疵担保期間と定めています。あくまで、二年間が最低ラインだからです。しかし、実質的には不動産業者であるにもかかわらず、物件の所有者をあたかも個人であるかのように装い、瑕疵担保責任から逃れようとする業者もあります。

そのため、売主が不動産業者であっても、所有者の名義にはご注意ください。社員の身内や、社長名義にこっそり変えられている可能性があります。

■売主が不動産業者以外なら

個人が売主の場合、瑕疵担保責任は「2~3ヶ月」と定めている例が最も多いです。しかし、1ヶ月や2ヶ月と定める場合もあれば、免責といって売主が責任を負わなくてもよい契約になっている場合もあるのでご注意ください。とくに、20年以上前に建てられた家など築年数が古い家だと、免責扱いにするケースが多いです。気になる場合は、仲介となる不動産業者に確認しましょう。

瑕疵担保責任には対象外の項目もある

いくら購入後の不具合に対応するといっても、すべての不具合に対応してもらえるわけではありません。瑕疵担保責任では、担保の対象外の項目もあるのです。

■瑕疵担保責任の対象項目は?

瑕疵担保責任で対象とされているのは、主に次の4つです。シロアリ被害・雨漏り・給排水管の故障・建物の構造上主要な部分の腐食となっています。

なお、不動産業者が売主の場合は、上記のように瑕疵担保責任の範囲が限定されることはありません。よって、売主が個人より不動産業者だった方が、買主にとってはメリットが大きいでしょう。

■将来雨漏りが起きた場合は?

雨漏りは瑕疵担保責任の項目内に含まれているものの、期間を過ぎてしまうと発見しても担保の保証外となってしまいます。しかし、売買契約を結ぶ前に住宅診断を実施すると、将来的に雨漏りしそうな部分が見つかることが非常に多いです。それでも現時点では雨漏りしていない以上、売主に修繕を依頼することはできません。結果として、雨漏りが起きる頃には期間を過ぎているというケースが発生しやすくなります。

■断熱材や建物の傾きについて

中古住宅では、断熱材に不具合が発生していることが珍しくありません。そして、断熱材の劣化は多くの場合、屋根裏や床下で見つかります。それでも残念なことに、断熱材の劣化は瑕疵担保責任とは一切関係がないため、保証の対象外なのです。

この他にも壁や床の傾斜を測定すると、建物が傾いていると判明することがあります。しかし、傾きの度合いによっては、瑕疵担保責任の対象にならないケースもあるのです。

住宅購入前の住宅診断がおすすめ

瑕疵担保責任があっても、住宅購入前には住宅診断を受けることをおすすめします。その理由は、以下の通りです。

■期間を過ぎてから不具合に気づくことも

雨漏りのように瑕疵担保責任の対象となる不具合であっても、期間を過ぎてから気づいた場合は修繕対応してもらうのは厳しいでしょう。そして、時には売りに出す前から知っていたのでは?と疑ってしまうような、不具合が見つかることもあります。それでも、「最初から知っていたのに黙っていた」という証拠を見つけることは、まず不可能です。

■「不具合」と売主が認めない場合もある

排水管が壊れているなど、誰の目から見ても明らかな不具合の場合は、売主も修繕の対応をしてくれるでしょう。しかし、それ以外だと不具合と認めてもらえなかったり、互いに希望や意見が食い違ったりして、交渉がスムーズに進まないケースも多いです。

 

中古住宅の購入を考えている時「あの物件には瑕疵担保責任があるから」といわれると、つい安心してしまいがちです。しかし、瑕疵担保責任の対象外となる項目もあれば期間を過ぎてから気づくこと、そして不具合と認めてもらえないこともあります。

それらの事実を踏まえると、売主・買主の双方が安心できるようにするためにも、住宅診断は事前に受けておいた方がよいでしょう。納得できる取引のためにも、住宅診断は重要な要素です。

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