住宅診断の種類にはどのようなものがある?種類ごとの目的を確認しよう!
中古住宅の市場拡大に伴い、住宅診断の重要性が日本国内でも注目されるようになりつつあります。そんな住宅診断ですが、どんな種類のものがあるのでしょうか?また、そもそも住宅診断の目的は?この記事では住宅診断の種類や、種類ごとの目的について1つずつ確認していきます。住宅診断にご興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも住宅診断とは?
ここでは、住宅診断がそもそも何なのかについて、まとめています。
住宅診断について
住宅診断とは、住宅診断士などの専門家が第三者の目線で建物の欠陥の有無や劣化状況を確認し、補修が必要な箇所や時期、そして費用を診断することです。主に中古住宅の売買で実施されており、費用は売主・購入検討者・仲介となる不動産会社いずれかが負担しています。
日本ではまだあまりメジャーではありませんが、中古住宅が盛んに流通しているアメリカではなんと60~70%の割合で実施されています。
なぜ必要なのか?
日本では長年新築信仰が続いていましたが、2018年4月より売買契約または媒介契約の際に、住宅診断に関する事項が追加されるようになりました。その背景には、空き家率が増えてきたことから「どんどん新築住宅を建てるよりも、良質な住宅をメンテナンスし長く使おう」といった、政府からの後押しがあります。
住宅診断を行うことで中古住宅の劣化状況、欠陥の有無なども明らかになることから、安心して中古住宅を購入できる体制づくりのために住宅診断は必要なのです。
いつ実施するのか?
住宅診断を実施するタイミングは購入の申し込みをした後、すなわち本格的な売買契約を締結する前となります。購入の申し込みをすると「買付証明書」が発行されますが、住宅診断を実施した後に修繕費用に納得できなければ、購入を取り消しも可能です。
なお、購入の申し込み前に実施することもそれ自体はできるのですが、おすすめできません。この時点では売買交渉権がないため、せっかくお金をかけても他の方に買われてしまう可能性があるからです。
住宅診断の種類
住宅診断には、いくつか種類があります。それぞれ、具体的に見ていきましょう。
新築住宅の購入時
中古住宅が中心となる住宅診断ですが、新築住宅の購入時に住宅診断を行うこともあります。これは建売住宅を契約する前の物件見学や、契約後の竣工検査(内覧会)などに専門家が立ち会い、施工ミスがないか?建物の施工精度の具合は?などを確認するものです。
契約を結ぶ前なら、「購入するかしないか」を判断する材料に有効であり、なおかつ立ち会いの時点で不具合があれば売主へ補修の依頼をすることもできます。
中古住宅の売買時
中古住宅の売買時においては、売主はだけでなく買主もそれぞれ契約前に住宅診断を実施するケースがあります。売主が実施するのは、住宅の品質を保証することで他物件との差別化を狙い、安心して購入してもらうことが目的です。
そして、買主が実施するのは専門家に診断してもらうことで「購入を検討している物件」に瑕疵がないか確認し、売買条件での交渉や購入判断に活かすことを目的としています。
リフォーム・リノベーション工事の実施時
新築・中古以外では、住宅診断は大規模なリフォームやリノベーションを実施する前後に行います。工事前・工事後どちらに実施するのかによって目的が変わるのですが、工事前なら住宅の修繕が必要な箇所と現状の劣化具合の把握が、そして工事後ならきちんと依頼した内容で修繕が行われたかどうかを確認することが目的です。
住宅診断にかかる費用と行う利点
実際のところ、住宅診断にはいくらぐらい必要で、そして行うとどんな利点があるのでしょうか?ここでは住宅診断時にかかる費用と、利点についてまとめています。
住宅診断にかかる費用は?
検査項目にもよりますが、一般的な住宅診断なら5~6万円、そして屋根裏や床下へ入り機器を使うなどの詳細な検査なら10万円前後が目安とされています。
また、物件の種類による変動もあります。具体的には、約30坪の一戸建てなら目視検査で5~7万円、目視できない場所の検査で6~12万円が相場です。そして、マンションなら目視検査で4~6万円が相場で、床下や屋根裏などに入ることはできないので、目視できない場所の検査は実施していません。
費用負担は誰がするのか?
法律上、住宅診断を必ずしなくてはいけないという義務はありません。したがって、売主と買主どちらが費用負担するのかというのも、明確なルールが存在しないのです。そして「住宅診断をしました!」と銘打って売りに出されている中古住宅も、まだ少ないのが現状です。
もし、欲しい中古住宅があったら買主に費用負担のうえ住宅診断をしてもらうこともできますし、買主が自費で住宅診断をすることもできます。
検査を受けるメリットについて
メリットは、買主・売主の両方にあります。まず、住宅診断が完了していることは、一定以上の品質保証になります。そのため、買主は安心して購入できますし、売主も他の物件と差別化ができるのです。
この他にも、売却した後に瑕疵が見つかりトラブルに発展するのも、防ぐことができます。何より、売買契約を結ぶ前に住宅の状態や問題点を透明化させることで、お互いに信頼関係を結べるでしょう。
住宅診断の種類には、どのようなものがあるか?種類ごとの目的について、確認をしてきました。住宅診断は新築住宅やリフォーム・リノベーション工事の際も行いますが、主な対象は中古住宅で品質保証や購入後のトラブルを防ぐために実施されます。住宅の状態を把握することで適正価格による取引ができるなど、売主・買主ともにお互い納得できる取引が実現するでしょう。