本当に必要?中古住宅に住宅診断を行うメリット・デメリット
中古住宅を購入の際には、事前に必ず住宅診断(ホームインスペクション)を受けているかどうかの説明を受けることになっています。とはいえ住宅診断という言葉の認知度はまだ低く「本当に必要なのか」と疑問すら持たれているのが現状です。そこで今回は、中古住宅に住宅診断を行うメリット・デメリットを解説いたします。
中古住宅に住宅診断を行うメリット
中古住宅に住宅診断を行うメリットは主に「家の状態をあらかじめ確認できる」「入居後のトラブルが起こりにくい」「見積もりやリフォーム計画が立てやすい」の3点です。この項目ではそれぞれのメリットについて解説していきます。
家の状態をあらかじめ確認できる
1つ目のメリットは、家の状態をあらかじめ確認できる点です。住宅診断とは基礎や外壁、構造などの調査を行い劣化具合や安全性を確認するサービスのことです。そのため劣化の度合いや修繕個所など、建物の状態をより正確に把握できます。
また雨漏れやひび割れなど、放置すれば後々大きな問題につながる不具合も早期発見できるメリットもあるため、家を購入する際の安心感にもつながります。他にもいわゆる「欠陥住宅」の購入を回避できるメリットもあるため、不安のある方は検討しておいて損はありません。
一方で住宅診断は売主にとっても「買い手が早く見つかる」「安心・安全の価値を付与できるため、アピールポイントになる」といったメリットがあります。
入居後のトラブルが起こりにくい
2つ目のメリットは、入居後のトラブルも起きにくくなる点です。代表的なトラブルとしては換気扇や給湯器といった設備の故障や、雨漏りやシロアリなどの被害です。
このようなトラブルが起こる理由は、内見だけでは実際の老朽具合を確認することは容易ではないからです。だからこそ事前に住宅診断を行い、状態を正しく認識しておけばどこに異常があるのか事前に把握できるため、結果的にトラブルも起こりづらいというわけです。
見積もりやリフォーム計画が立てやすい
3つ目のメリットは、見積もりやリフォーム計画が立てやすくなる点です。住宅診断を行えば劣化具合や購入後の修繕費用もわかるため、物件が適正価格であるかどうかの判断や、リフォーム費用の目処も立てやすくなります。
仮に中古住宅の価格が適正価格よりも高かった場合には、値引き交渉の材料として活用できる他、修繕費用も判明していれば、劣化が酷くなる前に前もって修繕を行うこともできます。
このように住宅診断を行うことのメリットを一言でいえば「将来への不安を減らし、より安心して住めること」だといえます。
中古住宅に住宅診断を行うデメリット
中古住宅に住宅診断を行うデメリットは主に「費用と時間がかかる」「不具合を完全に発見できるわけではない」「購入を見送る場合は、調査費用が無駄になる」の3点です。ここではそれぞれのデメリットについて解説していきます。
費用と時間がかかる
1つ目のデメリットは費用と時間がかかる点です。住宅診断は安くても5万円、床下・屋根裏など目視では調査できない範囲も含めると10万円以上かかることも珍しくありません。また、調査費用は買主、売り主どちらが支払うという規定もないため、多くの場合は買主が負担することになります。
さらに調査には予約・検査・報告まで含めて1週間ほどかかります。このため、人気物件など早期売買が見込まれている場合には、調査中に他の人が購入してしまうリスクもあります。
不具合を完全に発見できるわけではない
2つ目のデメリットとして、不具合を完全に発見できるわけではありません。これはなぜかといえば、ほとんどの業者は、目視による調査を基本調査としているからです。また、同じ調査でも業者によって診断士(ホームインスペクター)の技能や調査範囲も異なるため、依頼の際は業者ごとに「どの範囲を、どこまで調査するか」を比較検討する必要があります。
購入を見送る場合は、調査費用が無駄になる
3つ目のデメリットは、購入を見送る場合には、調査費用が無駄になってしまう点です。住宅診断は必ずしも買主の望む結果になるとは限りません。たとえば住宅診断の結果、「想像以上に欠陥、不具合が多く見つかった」「修繕するにしても、莫大な費用がかかる」といったケースも想定されます。
このようにあまりにも劣化具合が酷いと購入は諦め別の物件を検討した方が賢明ではありますが、「調査費用が無駄になってしまった」と考えることもできます。しかし欠陥住宅の購入被害は未然に防げますので、結局のところは捉え方次第です。
住宅診断を行う際に注意するべきポイント
住宅診断を行う際には、以来先の業者選びは慎重に行いましょう。これはなぜかといえば、以来先の業者が不動産とつながっていることが考えられるからです。そうなると売主に有利な診断が行われ、本来申告されるべき重大な欠陥が見落とされる可能性もあります。そのため業者選びは不動産業者と利害関係を結んでおらず、できるだけ中立性を保った業者を選ぶことが肝心です。
方法としては不動産業者から斡旋された業者に依頼することは極力避け、「実績が多く、対応も丁寧」、「建築士の資格を持っている」「価格や報告書の情報量」などを判断材料として複数の業者を比較することをおすすめします。
もう1つの注意点としては、住宅診断を行う前に、売主の承諾をもらっておくことです。もし承諾なしに行えば、売主に「勝手に家の中を粗探しさせられた」と不快に感じられ、その後の取引に支障が出る恐れがあります。
そのため、中古住宅の住宅診断を行う際には必ず売主の許可を得ておくようにしておきましょう。注意点をまとめると「業者選びは慎重に行う」「事前に売主の承諾を受けておく」の2点です。
家というものはできるだけ長く、より安心して暮らしたいものです。そのためにも住宅診断を受けておけば安全性や品質を正確に把握できるため、精神的不安もなくなります。とくに品質のバラツキが大きな中古住宅では、欠陥住宅や入居後のトラブル回避など、重大な被害を未然に防げるため、必要性は大いにあるのです。もし中古住宅の検討しているのであれば、この機会にぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか?