住宅診断を利用する際に注意するべきポイントについて解説!

公開日:2022/03/15   最終更新日:2022/03/29

住宅診断は住宅診断士が、家の欠陥や劣化を客観的に評価するサービスのことです。ホームインスペクションとも呼ばれる住宅診断は、アメリカなどでは一般的に利用されているもので、近年日本でも注目が高まっています。住宅の買主にはもちろん、売主にもメリットがある住宅診断について、もう少しくわしく見ていきましょう。

住宅診断を実施するメリット

住宅診断にはさまざまなメリットがあるのですが、主なものは以下の通りです。

中古住宅に安心して住むことができる

リフォーム済みのものやリノベーション前提で、中古住宅を購入することが一般的になりました。しかし不安なのが、住宅の状態が素人目にはわからないところ。とくにリフォーム済みのものは、見た目は新築と変わらないのです。

そこで利用したいのが住宅診断、リフォーム済みなら本当にその住宅に問題がないか、リノベーション前提ならどこをどの程度修理すればよいかを明らかにしてくれます。中古住宅に安心して住むことができるでしょう。

売却後のトラブルを避けることができる

住宅診断を受けるメリットは、中古住宅の買主だけでなく売主にもあります。販売して間もない住宅に何らかのトラブルが起こったなら、中古住宅とはいえ買主は面白いはずがありません。当然ながらクレームになりますし、その解消に費やされる労力は大きなものとなるでしょう。しかし住宅診断を実施しておけば、そのようなトラブルを未然に防ぐことができるのです。

新築住宅でも住宅診断のメリットが!

中古住宅だけでなく新築でも、住宅診断を受けるメリットがあります。引き渡し直前には内覧会を行って問題がないかを確認しますが、素人目では問題点を指摘しきれないもの。小さなビスが抜けている、部材の取り付けが誤っているということはよくあるのです。

また内覧時に目が届かない、屋根裏や床下もチェックしてくれるのが住宅診断。実際に施工ミスが起きやすいのは、目が届きにくいところなのです。指摘することで、住宅メーカーは即時手直しを行ってくれるはずなので、気持ちよく新築住宅に入居できます。

リフォーム前にも住宅診断を入れるべき

長く住んできた住宅をリフォームする場合にも、住宅診断を入れるメリットがあります。本当に手を入れなければならない箇所を指摘してくれますから、それを元にリフォーム業者に依頼することで、費用を抑えることができるのです。住宅診断なしでリフォーム業者に依頼してしまうと、過剰ともいえるくらい手を入れて、費用がかかりすぎてしまうかもしれないのです。

将来の売却時に有利になる

住宅診断を行うことで残されるのは、家の状態を記録した「診断報告書」です。これは家を大切にしていた証でもあるので、売りに出した場合にも有利に働くことでしょう。

住宅診断の実施を検討するべきタイミング

以上のようにさまざまなメリットがある住宅診断ですが、それではいつ入れるのが正解なのでしょうか?中古や新築住宅の購入時だけでなく、今住んでいる家の診断を依頼するケースも増えています。

中古住宅の売買契約直前

中古住宅に住宅診断を行うなら、売買契約を結ぶ直前をおすすめします。理由は診断の結果次第で購入を見送ることができるから。「購入後に住宅診断を依頼したら、不具合が次々と!」というのでは、面倒なことになるのが目に見えています。不動産業者の中には、住宅診断を入れるのを嫌うところもありますが、そのようなところの信頼性は少々疑わしいといえそうです。

新築住宅の内覧時

たとえば営業マンと施主さんとで壁紙などをチェックしている間、同行した診断士が屋根裏や床下などのチェックを行います。23時間程度かかるので、住宅診断を行うことを事前に伝えておく必要があるでしょう。

また住宅診断を入れる予定があるなら、着工時から伝えておくのもよい方法です。施工する側も気を抜けなくなるでしょうから、仕上がりが違ってくるかもしれません。

自宅に不安を感じた時

住宅メーカーや工務店は、新築時から最短でも10年間の保証を付ける義務があります。多くが定期的な点検とセットの保証プログラムを用意しているのですが、不安になる点は保証が切れた後。どこに点検を依頼していいのか、いつメンテナンスを入れていいのかがわからなくなってしまいます。

また前述したように、リフォーム工事を入れる前も住宅診断を行うよいタイミングです。中古・新築住宅の購入・入居直前だけでなく、自宅に住みながら住宅診断を受ける方が増えているのです。

住宅診断を利用する際に注意するべきポイント

ただ業者に連絡すれば、住宅診断を受けられるわけではありません。利用の前に準備するものやかかる時間など、多少の注意ポイントを知っておきましょう。

資料を用意しておく

平面図や立面図、短計図、基礎伏図、小屋伏図といった資料を、事前に用意しておきましょう。すべてをそろえることが難しい場合は、間取り図だけでも用意してください。

誰が費用を負担するのかを明らかにしておく

たとえば中古住宅の場合、売主・買主の両方にメリットがあるのが住宅診断です。かかるであろう10万円前後の費用は、どちらが負担するのかをはっきりさせておきましょう。

時間がかかることを知っておきましょう

住宅の広さで変わりますが、住宅診断には23時間ほどかかります。立ち合いが必要になるので、時間には余裕をもって予定を組みましょう。

 

次第に一般的になってきたとはいえ、まだ普及しきったとはいえないのが住宅診断です。住宅診断は新築・中古の購入時だけでなく、今住んでいる家についても行うメリットがあります。国が既存住宅やリフォーム市場の活性化を後押ししていることもあり、さらに利用が広がっていくに違いありません。

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