中古住宅は引き渡し前に住宅診断が必要?
中古住宅の住宅診断の最適なタイミングはいつなのでしょうか?売買契約前がもっともおすすめといわれています。瑕疵担保責任があることに安心して引き渡し後に物件を見に行ったら、不具合が発覚ということが少なくありません。ここでは、中古住宅購入後のトラブル事例や、引渡し前の確認が必要な理由、契約不適合責任などについてご紹介します。
中古住宅を購入後に雨漏りが発覚することは珍しくない
中古住宅は、購入後にさまざまな理由でトラブルになることがあります。実際に多いトラブルについて見ていきましょう。
シロアリや雨漏り
シロアリや雨漏りのトラブルは内見だけでは確認できず、専門家に細部まで調査してもらわなければ事前に判明しません。実際に住み始めてから被害に気づく人も多いため、トラブルに発展することが多いです。トラブル予防のためにも、過去の消毒履歴を確認し、購入前に住宅診断することがおすすめです。
電気設備の故障
比較的早期に発見できるものに電気関係の設備の故障があげられます。具体的には、給湯器や温水洗浄便座などの故障です。内見の際にはガスや電気、水道が止まっていることがほとんどのため、事前に確認することが難しいことから、購入後に気づくケースが多いです。設備関係のトラブルを防ぐためには、売り主の作成した設備表と照らし合わせながら、入居直後に設備が使えるかどうか確認することが大切です。
隣人トラブル
隣人との境界線に関するトラブルも比較的多いトラブルのひとつです。すべての家で明確に境界線が決められているわけではないため、所有者が変わったことでトラブルに発展する可能性もあります。中古住宅を購入する際に、境界線の測量を行い、明確にしておくことでトラブルを回避できます。
確認をせずに引き渡しすることが当たり前?
中古住宅の取引の流れの中で問題となっているのが、引渡し前の確認が工程に含まれていないことです。物件を内覧した後、一度も建物を確認することなく引き渡しを迎え、鍵をもらってはじめて物を置いていない部屋の状態を見るということが起こり得ます。では、どのタイミングで確認をすればよいのでしょうか。
申し込み前
内見に行っただけの状況でも住宅診断は可能ですが、診断の結果不具合が見つかり、売り主と交渉していくなかで、購入申し込みが多い場合には断られる可能性もあることを考慮しましょう。その点から考えると、最適なタイミングではないといえます。
申し込み後~契約前
契約申し込みが終わり、購入の意思を示したうえで売買契約の調整も進んでいるなかで住宅診断をするのはベストなタイミングです。たとえ不具合が見つかった場合でも、契約前のためキャンセルが可能です。また、不具合の修繕費用を売り主に負担してもらったり、直せない不具合の場合値引きしてもらったりすることも可能です。
契約後~引渡し前
契約後であっても、売り主側で不具合がわかれば修繕対応してもらえます。ただ、中古住宅の売買においては、売り主は基本修繕に限定されるため、損害賠償や代金減額の請求や契約解除は難しいです。
契約不適合責任は万能ではないので要注意
中古住宅を購入した後に欠陥が発覚した場合、売り主に対して契約不適合責任を追及できることがありますが、契約内容に適合しているかどうかを判断することは非常に難しいため、万能ではないことに注意しましょう。
契約不適合責任
引き渡されたものが契約内容に適合していないとき、売り主や請負人に生じる責任が契約不適合責任です。契約通りのものを引き渡さなければ、売り主が責任を負うものです。契約に適合しているかどうかの判断は弁護士に相談することをおすすめします。
中古住宅を購入した後で隠れた不具合によりトラブルが発生した場合、瑕疵担保責任を問うことができましたが、契約不適合責任では隠れた不具合でなくても追求できる可能性があります。
請求できること
・追完請求
修繕・不足分を引き渡す・代わりのものを引き渡す、のいずれかから適切な責任を果たさなければいけません。
・代金減額
相当期間内に履行の追完をお願いしても履行しない場合、代金減額を請求できます。
・解除
売り主に対して追完の履行をお願いしても履行しない場合、契約を解除することも可能です。
・損害賠償
生じた不具合に関して、売り主に悪意や過失があった場合には損害賠償請求ができます。
期間や有効性
不適合が判明してから1年以内に売り主に通知することで責任を追及できます。民法において強行規定ではないため、期間を短くするような契約も有効です。また、売り主の契約不適合責任を免除する旨の特約も有効です。
まとめ
本記事では中古住宅は引き渡し前に住宅診断が必要かどうか解説しました。契約不適合責任の有無にかかわらず、中古住宅を購入する際には引渡し前に物件の確認をすることが重要です。引渡し前がベストなタイミングです!確認を行っていたにもかかわらず、トラブルに遭ってしまった場合には一人で解決しようとせず、専門知識を持った弁護士や相談窓口で相談しましょう。