ホームインスペクションの流れと実施タイミングを詳しく解説
2018年に宅地建物取引業法が改正されたことで、中古住宅の状態についてきちんとした説明をすることが義務付けられ、近年住宅業界ではホームインスペクションが重要視されています。今回の記事ではホームインスペクションとはどんなものなのか、さらにホームインスペクションの流れや実施するタイミングについて解説します。
ホームインスペクションを実施するメリット・デメリット
■まずホームインスペクションを簡単に解説!
まずインスペクション(inspection)とは専門家による調査・点検のことを意味し、ホームインスペクションは住宅診断という意味です。リノベーションやリフォームとは違い、調査・点検であるため工事をしたり修繕したりすることはありません。
また、ホームインスペクションを実施できるのは、国土交通省による講習を行い登録した建築士だけとなります。ホームインスペクションでは、建物の調査を行い工事すべき部分や時期、費用などのアドバイスを聞くことができます。
ここで注意が必要なのは、ホームインスペクションの対象になるのは中古住宅のみであり、新築物件は行うことができない点です。加えてマンションと一戸建てでは対象部位が異なるため、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
■ホームインスペクションのメリット
・売り買いがスムーズになる
売主がホームインスペクションを行う場合は、買主に建物のきちんとした情報を提示できるためスムーズに取引が行えます。建物が調査・点検されていれば信頼できる住宅として希望価格を通しやすくなるうえ、買主も見つかりやすくなるでしょう。
また買主がホームインスペクションを行う場合にも、住宅の欠陥を見つけられるため後々のトラブルや後悔を回避できるメリットがあります。
・妥当な価格設定であることの証明になる
買主がホームインスペクションを行うことで、修繕費などを資金計画に組みこみやすくなるメリットもあるようです。不動産は売主によって売却値段が異なるため、値段が妥当であるか判断することが難しいとされています。修繕箇所や欠陥部分を先に提示されていれば適正価格かどうかの判断材料にすることが可能でしょう。
・トラブル防止につながる
トラブル防止につながるのもホームインスペクションのメリット。ホームインスペクションの結果、欠陥が見つかった場合にはその内容を売主が契約書に記載しておくことで、売った後に契約不適合責任を追わずに済みます。事前に買主に建物の不具合を伝えられるのでトラブル防止に貢献できます。
■ホームインスペクションのデメリット
・調査費用+時間がかかる
ホームインスペクションに限らず調査や点検には費用が掛かるようです。一戸建てで目視の調査が可能な場合5万~7万、目視では判断できない調査の場合は6万~12万となっています。
またホームインスペクションには2週間程度の時間が必要なため、早急に物件を売却または購入したい場合には向かないといえるでしょう。
・売却時に値引き交渉される場合がある
ホームインスペクションを行った結果、重大な欠陥が見つかったような場合には、売却価格の値引き交渉や修繕工事を求められることがあります。
ホームインスペクションを実施するタイミングはいつ頃がオススメ?
ホームインスペクションを行うタイミングは「申し込みと契約の間」に行うのがおすすめです。なぜなら、契約前にホームインスペクションを行っておくことで、建物の不具合を先に見つけることができたり、売却後のトラブルを防ぐことができたりするからです。
また契約前であれば購入を中止できるため、買ってから「こんなところに不具合が…」と頭を抱えることも少なくなります。
ホームインスペクションの実際の流れ
住宅を購入する流れとホームインスペクションをどこで行うのか見てきましょう。住宅購入とホームインスペクションの流れは以下のようになります。
・物件見学
・申し込み
・ホームインスペクション
・契約
・内覧会
・引き渡し
・入居
先程お伝えしたとおり、上記のタイミングでホームインスペクションを行っておけば、結果次第で購入を取りやめることができるうえ、購入する場合でも修繕費用などをあらかじめ資金計画に組み込むことが可能です。
もしホームインスペクションを申し込み後と契約前の間に行う場合は、他の人に先を越されてしまう心配があるため「買付証明書」や「申込書」を作成し、申込金として1~10万円程度払っておくと安心です。もしホームインスペクションの結果で購入を取りやめる場合には、申込金は返金されるので行っておくことをおすすめします。
今回はホームインスペクションの流れと、実施のタイミングについて解説しました。ホームインスペクションは中古物件の品質を確かめる手段として非常に有効です。しかし物件と調査機関が同じ会社であると、欠陥が見つかっても隠蔽するケースがあるため、第三者機関に調査を依頼するようにしましょう。実施タイミングを守ってホームインスペクションを行ってみてください。