住宅診断に立ち会うことによって得られるメリットとは?

公開日:2022/02/15   最終更新日:2022/02/28

日本ホームインスペクターズ協会の公式HPによると、住宅診断には23時間かかるとのことです。隅々までチェックするのですからしょうがないとはいえ、結構な時間がかかるものです。しかし依頼者は最初から最後までの立ち会いをおすすめします。長時間を割いてまで、診断に立ち会う理由は以下の通り。メリットを得られることがわかるでしょう。

住宅診断に立ち会うべき理由

住宅診断を終えた後には、依頼者あてに調査報告書が送られてくるのですが、これを受け取るだけでは不十分です。その理由は報告書の内容を理解するのが難しいから。建築業界の方向けに書かれているので、建築の知識がない依頼者が見てもどこに問題があったのかわかりません。

たとえば「南面サイディングボードにヘアークラック(最大0.5mm)を確認」とあったとしても、その深刻さを理解することは、なかなか難しいことでしょう。

その場で質問・確認ができる

写真付きの報告書とはいえ伝わりづらい不具合も、立ち会えばその場で質問することができます。先述した例ならヘアークラックを自分の目で確認できるだけでなく、できた原因や対策、補修方法についてアドバイスをもらえるでしょう。

補修時は業者に伝えやすい

業者に補修を依頼する際も、診断士のアドバイスを元に行えば、スムーズにことが運ぶでしょう。先述のヘアークラックなら新しいボードを張り直すか、コーキングで補修するかの2択になると思うのですが、経年が原因であると診断士からのアドバイスがあれば、張り直しをした方がいいという判断が下せるのです。

報告書が待てないケースもある

売買契約日が決まっており、報告書の完成が間に合わないケースでは、なおさら住宅診断の立ち合いを行うべきです。理由は原因不明の雨漏りや躯体の腐食など、物件にとって致命的な欠陥が見つかった場合、その場で売買の話をすすめるかどうかの判断が下せるから。契約後に報告書で知らされるようでは、正直どうしようもありません。

住宅診断に立ち会う人

上記の理由から、住宅診断に立ち会うべきは依頼者です。最初から最後までの立ち会いが理想ですが、難しい場合は身内の方など、依頼者のかわりとなる別の誰かが立ち会ってください。また依頼者以外に立ち会うのは、売主や仲介業者となります。

売主(所有者)

住宅の購入予定者以外で、住宅診断に立ち会うことが多いのは売主(所有者)です。診断の結果次第で大きな値引きを要求されかねませんから、やはり気になるのでしょう。中古住宅なら売主がまだ住んでいるケースもあり、その場合は立ち会わざるを得なくなるでしょう。

仲介(不動産)業者

売主との直接売買以外なら、仲介を行う不動産業者も立ち会います。不具合が見つかり買主から値引きを要求されたなら、売主との交渉に立つのは仲介業者ですから、住宅診断の結果が気になるところです。売主が完全に任せ切っているケースでは、立ち会いは依頼者と仲介業者のみということも珍しくありません。

建築業者

新築住宅の診断を依頼した場合、工務を実際に担当した建築業者も立ち会うのが一般的。ほかには設計の担当者も立ち会うケースもあるでしょう。新築住宅ならよほど深刻なものでない限り、見つかった不具合は手直しして買主に引き渡されます。

住宅診断を依頼する際の注意点

住宅診断に立ち会う必要性は理解していただいたと思いますが、依頼先が誤っていると、せっかくの診断や立ち会いがムダになりかねません。依頼先選びの注意点についてお話しておきましょう。

依頼先は買主が選びましょう

住宅診断を入れたい旨を伝えたら、仲介業者や建築業者が業者を紹介するといい出すようなら要注意です。ほかの項目でも述べたとおり、中古住宅なら仲介業者、新築住宅なら建築業者にとって、住宅診断はあまり都合のいいものではありません。それだけに業者が紹介する住宅診断業者は、仲介業者や建築業者と何らかの利害関係を持っている可能性があるのです。

第三者という立場が守られずに行われる住宅診断は、買主が知っておくべき不具合を伝えないままになるかもしれません。この記事を参考にするなど、買主ご自身で住宅診断業者を選ぶことをおすすめします。

診断の依頼先選びは慎重に

注目が高まるに連れ、住宅診断を行うところも増えており、なかには怪しげな業者も見られます。依頼先を選ぶ際には「建築士」など、国家資格を取得しているかどうかを目安にするとよいでしょう。

ちなみに住宅診断士という資格は、建築業に携わったことのない方でも受験できる民間資格でしかありません。住宅診断士を持っているのは当然として、プラスアルファの資格を重視して、依頼先を選ぶようにしましょう。

 

購入予定の物件が遠方にあるなど、どうしようもない場合をのぞいて、買主は住宅診断に立ち会うべきです。ほかに立ち会うべきは売主や仲介業者、新築の物件なら建築業者も診断の場に同席するべきでしょう。

また、立ち会いの前に注意したいのは、住宅診断を行う業者選び。仲介業者がすすめてくるようなところは避けて、買主ご自身で選ぶべきです。その際には住宅診断士以外の肩書が重要になりますから、この記事を参考に業者選びを行ってみてください。

おすすめ関連記事

SEARCH

READ MORE

中古住宅の住宅診断の最適なタイミングはいつなのでしょうか?売買契約前がもっともおすすめといわれています。瑕疵担保責任があることに安心して引き渡し後に物件を見に行ったら、不具合が発覚ということ

続きを読む

数年前に改正された宅地建物取引業法により、建物の状況調査は一般的になっていますが、調査の際に床下のチェックはかなり重要です。建物の外側からだけでなく、床下側から基礎を診断することで分かること

続きを読む

狭小地に建てる3階建ての住宅は、生活しづらいイメージがあるかもしれません。しかし、同じ敷地の広さで2階建てと比べると低コストで充分な生活空間を確保できます。住宅診断の観点から見ると、3階建て

続きを読む

床下は普段は目の届かない場所であるため、変化に気がつかず、劣化が進行しやすい場所です。しかし、床下は建物全体の強度を支える重要な部分でもあります。そのため、床下にトラブルが生じれば、なるべく

続きを読む

近年、リフォーム時のトラブル件数は年々増加しています。そんなトラブルを回避するのに役立つのが、ホームインスペクションとも呼ばれる住宅診断です。住宅診断では、住宅診断士が第三者的な立場から、住

続きを読む

人生の中でも大きな買い物になるマイホーム。住宅診断を依頼すれば安心して暮らしていくことができますが、将来のことを考えると費用はかけたくないと躊躇してしまうかもしれません。「自分で検査できるな

続きを読む

新築住宅に付いてくる瑕疵保険ですが、基本的に期限は「最長10年間」と定められていることが多いようです。しかし、一生暮らすマイホームですから、10年経った後はどうすればよいのか不安になりますよ

続きを読む

中古住宅の購入を考えた時に住宅診断を依頼しようとしたら、「瑕疵担保責任があるから住宅診断をしなくても大丈夫」と不動産業者から断られることがあるようです。果たして、本当に瑕疵担保責任のある家は

続きを読む

中古住宅を購入の際には、事前に必ず住宅診断(ホームインスペクション)を受けているかどうかの説明を受けることになっています。とはいえ住宅診断という言葉の認知度はまだ低く「本当に必要なのか」と疑

続きを読む

日本でも広がりつつある住宅診断は、不動産の買主だけでなく売主にとってもメリットがあるサービスです。にもかかわらず、二の足を踏みたがるケースも見られるもの。とくに中古住宅の売買で、住宅診断を拒

続きを読む